人見知りの僕が出張ホストのバイトで自分の可能性をみつけた
K・U(20歳)
アニメーターの夢と、広がっていく距離
20歳の学生です。専門学校に入学したのは、子どもの頃からずっと好きだったアニメに関わりたいという気持ちからでした。アニメーターという職業は需要もあるし、好きなことを仕事にできるなんて最高じゃないか——そう思っていたんですが、実際に学校で学んでいくうちに、その考えは少しずつ変わっていきました。一枚一枚の作画にかかる時間の長さ、細かさ、根気のいる作業の連続。自分が思っていた以上にハードで、しかも「これが本当に好きでたまらない」という感覚が、どうにも湧いてこなかったんです。
就職活動の時期が近づいても、なかなかその気になれなくて。親には心配をかけているのはわかっているし、学費だって出してもらっているのに、申し訳ないという気持ちはずっとありました。でも気づけば学校からも少しずつ足が遠のいていって、家にも帰りづらくなって、しばらくはふらふらと過ごしていたこともありました。お世辞にも充実しているとは言えない時期でしたね。
ネットで見つけた、ちょっと意外なバイト
とにかくお金が必要で、高額日払いのバイトをネットで探していた時に、出張ホストという仕事を見つけました。正直なところ、最初はよくわからないし、自分に務まるのかな?という不安のほうが大きかったです。僕はどちらかというと人見知りで、テンションもいつも低めで、盛り上げ上手なパリピキャラとは真逆のタイプ。友達の輪の中でも、どちらかといえば聞き役に回ることが多い人間です。「接客なんて向いていないんじゃないか」と思いながらも、とりあえずやってみるかという感じで、あまり深く考えずに応募したのが始まりでした。
最初の数回は、何を話したらいいかわからず、ただただ緊張していた記憶があります。でも不思議なことに、特別盛り上げようとしていないのに、お客様に喜んでいただける場面があって。無理に明るく振る舞わなくても、ちゃんと話を聞いて、相手の言葉を受け止めるだけで、それが十分だと感じてくださる方がいると気づいたんです。その感覚が、じわじわと嬉しくて。
指名が増えて気づいた、自分の中にあったもの
入店して半年が経ちましたが、今では指名もコンスタントにいただけるようになってきました。自分を必要としてくれる人がいるということが、こんなにも嬉しいことだとは思っていなかったです。アニメーターの夢を追いかけていた頃には感じられなかった「ここに自分の居場所がある」という感覚を、まさかこの仕事で覚えるとは。マネージャーにも「君は接客が向いている」と言っていただいて、素直に嬉しかったですし、少しだけ自信がつきました。
なんでこんなに楽しいんだろうと自分なりに考えてみたとき、ふと思い当たったのが姉の存在です。僕には一つ上の姉がいるんですが、とにかく明るくておしゃべりな人で、子どもの頃から毎日のように話を聞いていたんです。学校でのこと、友達のこと、好きなドラマのこと——内容はなんでもよくて、ただひたすら聞いていました。当時は「また始まった」なんて思っていたこともありましたが、もしかしたらあの日々が、人の話をちゃんと受け止めるということを自然に身につけさせてくれていたのかもしれません。
25歳までに、自分だけの答えを見つけたい
今のところ、明確な将来の目標というものはまだありません。アニメーターへの道は一度立ち止まったままですし、この先どうするかも、正直まだ霧の中です。でも出張ホストの仕事は今とても楽しくて、毎日それなりに充実しているのは確かなこと。焦って答えを出そうとするより、今できることに集中してみようと思っています。
ただ、この仕事で稼げるのはやっぱり若いうちだろうなという現実はちゃんと見えていて。ひとまず25歳くらいまではここでお世話になりながら、その間に接客業をメインに、自分が本当にやりたいこと、向いていることを見つけていけたらいいなと思っています。人見知りで口下手だと思っていた自分が、接客の仕事を楽しいと感じているなんて、1年前には想像もしていなかったことです。人ってわからないものですね。自分のことが、少しだけ面白くなってきました。
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