F・B（20歳）

将来の夢のために奮起したのですが…

僕は映像関連の専門学校に通っている学生です。将来の夢は、テレビに関わる仕事に就くことです。ディレクターとか、そういうのを目指しています。けれど弱点として、極度の人見知りというのがありまして…これを克服するために、これまでいろいろ頑張ってきました。

たとえば自己啓発本読んだり、相席居酒屋にも行ってみたりと、本当に自分なりにできることはやったのですが、それでもなかなか…。そこでちょっと思いついたのが、仕事として人と関わらなければいけないバイトをすること。それも振り切って、水商売なんてどうだろう、と。

そうして始めたメンズバーなんですが、これが結構、意地悪なお店で…というか、僕の人見知りなところをズケズケといじってくるというか、あれも新人の洗礼なんですかね。そうとも思いながら耐えていたのですが、ある日、我慢の限界に達し、無断欠勤しました。

唯一の理解者からの紹介でこのお店へ

たぶん行かなくても放っておかれるだけだろうと思っていたのですが、唯一、僕の連絡先を知っていて、ちょっと気にかけてくれている風だったキャスト仲間の一人から、こっちで働いてみれば、と紹介されたのが、この新宿の出張ホスト店との縁です。彼はメンズバーのランカー級だったので移籍は考えなかったようですが、安心して働ける良いお店だと評判は聞いていたそうで、それを僕を教えてくれたかたちです。

彼が取り次いでくれるような感じで入店してきたので、一般的に求人募集に応募して、いわば意思を持って入ってきたキャストとは違うのですが、そういうことで何か区別するのでもなく、お店は僕を対等な一人の人間として扱ってくれました。ここでは新人いじめみたいなこともまったくなく、最初からお店の運営側も優しいお客様をつけてくださりました。

そうしてひとつずつ仕事をこなすうちに、人見知りな性格もだんだんと克服とはいえないまでも改善されてきたように思います。なんというか、これまでの僕は、こういう性格を変えるには自分からガーッと積極的にいけるようにならなきゃダメだ、と考えていたんですね。でも、違いました。

聞き上手になることで人と自然に接せられる

お客様もこちらが話すのが上手くないことをわかると、なんというか、こんなことでいいのかと思うのですが、お客様の方からいろいろ喋ってくださるんですよね。本当に何かと話題は事欠かない面白い方ばかりですので、聞いていると、自然に引き込まれてしまいます。

そうすると、こちらもいい顔ができるのか、ただ聞いているだけなのに、お客様から「あなたと話していると楽しいよ」と言われたりします。なんだか、自然と聞き上手にでもなれているのでしょうか。こういう風なコミュニケーションもアリなんだな、と知りました。

そうやってお客様に褒められたことで、人見知りがずいぶんマシになった気がします。僕にとってはこの仕事で高収入どうこうより、こういうお店とお客様との出会いが、何よりの宝です。