K・N（20歳）

恋人に振られたことがきっかけです

僕は専門大学に通う二年生です。出張ホストを始めたきっかけは、彼女に振られてしまったことです。あなたと話していてもつまらない、と言われて、すごいムカついたんですけど、確かに僕はそんなに会話とかも得意じゃないし、相手の気持ちもわからないではありません。ただ、そんなことをよく人に向かってストレートに言うなこいつ、とは思いました。

だから奮起して、ではありませんが、いやまあ実際そんな感じで、とにかくあいつを見返してやるつもりで、モテる男目指して何かやってやろうと。度胸つけてやろうと思い、ネットで見つけた出張ホストの求人に応募しました。他にもいろいろ高額バイトの候補はあったのですが、なんというか新宿でレンタル彼氏やるのが、一番自分的に鍛えられそうな気がしたので。

けれどそうやってすごい気合いを入れながらお店に来たわけですが、最初は正直空回りしていましたね…。なかなか指名に対する接客の満足度が低く、正直、スタートしてちょっとのあいだは自分でも「ダメだな」と思っていました。決定的だったのは、年上のお客様からの一言です。

共感力を持ちなさい、と言われて

モテる男を目指して応募してきてとにかくガムシャラに働く毎日。でも空回りする日々で、とあるお客様から、苦言を呈されました。「あなたの接客には、共感力がない。彼女に振られた理由も、それなんじゃないの」とグサリ。確かに、僕って、なんか話すときに相手の話をこっちに引き込もうとするというか、そういうクセみたいなものがあったんですよね。

だからそれからは、ちょっとずつですが、恋愛関連の本を読み漁って勉強しました。正直バカにしていたようなジャンルの本ですが、読んでみると、それなりに真実らしいことが書かれているんですよね。勉強になる。それを接客にフィードバックして、とにかくまずは、「聞き上手になる」こと。

それから、相手に「共感」しているように見える相槌の打ち方や、言葉遣いに注意することなどを意識すると、これが結構うまくいきました。ずいぶんと指名も増えたし、これまではなかったリピート指名なんかも増えてきたんです。これは大きな感触がありました。

もっといい男になるために

この仕事の何がいいといって、まあ高収入だったり、お給料面とか待遇とかみんな言うわけですが、僕としては、それも大きいですが、こうやって接客を通じて人間的に成長できることがあります。そういう、ハート面を鍛えるためにも、すごいいいバイトだと思います。

もう彼女に振られた悔しさはまったくないです。むしろ、あのときズバッと言ってくれたあの子に感謝する思いです。そうでなければ、いつまでも自分の悪いところを引きずっていました。

これからもっといい男になるため、このお店で引き続きバイトをしていきたいと思います。ひとつの目標として、月収いくら、ということをモチベーションに、それだけの額を手にするのに見合う男になりたいと心を燃やしています。