U・M（24歳）

旅館の従業員、出稼ぎ決意しました

僕の地元は観光地で、実家は旅館です。というと、もう大体想像つきますよね。そう、コロナの影響をもろにくらった仕事のひとつ。これはもう本当に経営破たん寸前で、僕も結構いろいろ頑張ったんですけど、gotoのブレブレ政策もあって、一旦閉業することにしました。

その方が実際、対外的に印象も良いんですよね。そして従業員に保障もある程度出せるし、ただこの種の保険がないのはキツいです…今後、おそらく作られるんでしょうけど。

ただそういう状況になって、じゃあどうするか、自分の食い扶持をどうするか、という問題は僕自身が解決するしかありません。そこで東京に出稼ぎすることを思いつきました。地元では顔が知られていてバイトなんてできないし、やはり東京になら可能性があるだろうと。

東京の友達からの導きで

地元の友達から、おいしい仕事がある、と聞いたのもタイミングよかったです。それが出張ホストで、ちゃんと新宿のお店の求人に応募して採用されたのではなくて、ちょっとした繋がりだったわけですが、この高額バイトにありつくことができました。

さすがに来店客数は減っているとのこと、そのへんもちゃんと教えてくれました。ヘンに隠そうとしないところに、やはり老舗の余裕を感じます。「でも今は店外指名で密を避けながら仕事もできるから」ということ。なるほど、システム的にも時代対応しているのです。

そんなわけで観光地から出稼ぎにきた僕ですが、最初の頃は東京の街のスケール感に圧倒されるばかりでした。なんか、本当におのぼりさんそのもので、お客様に指名されながらも上空を見上げていたりと。そんなところが「素朴で面白いね」とウケてもらいましたが（笑）

接客はお手の物なので

こういうこと言うと自慢げに聞こえるかもしれないですけれど、接客は得意なんです。それは実家は旅館なんだから、プライドだってあります。なんの経験もなく始めたわけですが、スタートだけ若干もたついたくらいで、あとは順調に仕事をこなしています。

紹介されたということもあって、友達に恥をかかせたくない意味でも、最初はすごく丁寧に丁寧に接客をしていたんですが、「逆に気を遣うから」とマネージャーのSさんに言われました。確かにそうですよね…。それからは力を抜いて、僕自身も楽しんでやっています。

ただお客様の雰囲気には、まだビビることがあります（笑）さすがにみなさん、何かに精通してらっしゃる方ばかりで、何もかもが違うので…。

田舎の旅館に来てもらえるように

この東京に稼ぎにやってきて、良かったです。収入面もそうですが、何より自分の経験の糧という意味で、面白い世界が覗けていると思います。

そしていずれ、近い将来、僕を指名してくださるお客様をコロナ明けには旅館で最上級のおもてなしができたら、と考えています。ちょっとした営業活動もしたりして、まあ宣伝程度に。

ただ、いつまでこんなことが続くんだろうな、と思っていたら、ワクチンの話がようやく出てきましたね。そろそろ僕もこのお店から卒業かな。楽しいからもう少し続けたいけど。