U・K（21歳）

寮にひかれてやってきました

僕は実家で家事手伝いみたいなことをしていました。家事手伝いというと本当にニートみたいに聞こえるかもしれませんが（笑）、実際には違います。うちはコンビニをやっているので、その手伝いです。フランチャイズの家族経営。まあまあお店は順調なのかなという感じです。

けれどある日、ちょっとしたことで父親と喧嘩してしまいました。それくらいの軽い衝突はまあ何度かあったわけですが、今回はその翌日までずっと険悪で、最後には大声で罵りあうような喧嘩になり、その場の勢いで出て行ってやるといって、本当に家出してきたんです。

東京にきてからは、あてもないのでネットカフェで寝泊りしていました。それも本当に目的なく、という感じです。とりあえず家出してしまってすぐに戻るみたいな格好悪いことはできないし、どうしよう、と思っていたらそのうちに貯金がつきて、困り果てました。そこへ無料の寮付きの新宿の出張ホストというバイトを見つけ、藁にもすがる思いで応募したんです。

この仕事に本当に助けられています

無事採用していただき、こうして無料の寮にも住まわせてもらっています。仕事の方は緊張しっぱなしですが、幸い、お客様もお店の方も優しい人ばかりで、なんとか自分みたいなあまり取り柄のない人間にも、務まっています。

応募したときには、正直、細かい部分までは確認せずにとりあえずの勢いでやってきたわけですが、どうやらこの仕事、結構都心では噂の高額バイトみたいですね。自分もお客様の相手をさせていただき、頂戴するお給料に驚いています。まさかこんな高収入とは知りませんでした。

本当に助けられた思いです。あのまま金なしで日雇いとかしていたら、なんか悪い方向に転がっていったような気がします。この仕事を通じて接するお客様やお店の方にいろいろとアドバイスをいただき、今は貯金をして、とりあえず一人暮らしの部屋を借りることを目標にしています。

ほとぼりが冷めたら…

喧嘩して家出してきたときはとにかく頭に血が上っていて、冷静な判断ができる状態ではありませんでした。今は自分が悪かったと思っているので、ほとぼりが冷めたら父親に謝りたいと思います。

この仕事のことは内緒で、詳しく言っていませんが、一応、母親と姉には連絡しています。寮付きの工場で働いている、みたいな言い方をしていて、まあ心配してはいるようですが、「ちゃんと定期的に連絡はしなさい」という感じで、自分の意思も尊重してくれているみたいです。

こうして突然東京に出てきたわけですが、今思うと、人生で一回くらい、こういうことがあってもいいのかなとも思います。そうでなければ、実家のコンビニの手伝いで一生を終えることになったかもしれません。一度都会の空気を吸って、いろんな人々を見て、お仕事で接して、学ぶことや刺激になることは多いです。いろいろとありましたが今は毎日が結構充実しているし、将来のことも少しずつ前向きに考えられるようになってきました。