A・M（23歳）

先輩と一緒に店をやっていたのですが…

名古屋で、先輩と一緒にガールズバーを経営していました。ただ、経営難で先輩が鬱になってしまって、自分ひとりだけでは切り盛りできないので、やむなく閉店。店の立ち上げで借金していたのが、そのまま残ってしまいました。

どうしようかな、と相当悩みました。自分は実は高卒で、学もないし、これまで水商売の経験以外、ほとんどまともな仕事というのをやっていないんですよね。その頃まだ21歳とかでしたが、まあギリギリすべてやり直しはできるかなと思いながら、いわゆる「普通の社会人の生活」というやつにかったるさを感じて、踏み出せずにいました。

けれどそうやって保留しているあいだも借金の督促はあるので、とりあえず、稼げる高額バイトをやらなくちゃと求人を漁るように見ました。けれど、どれもちょっと自分の条件を外れるというか、もう本当に家賃とかも払えないような状態になりかけていたので、ここは一度、東京にでも出稼ぎに行って賭けに出るかと、新宿界隈の高収入バイトの口を探したんです。

無料の寮つき！？　迷わず応募

デリバリーホストという仕事は、「なんだそりゃ？」という感じでしたが、無料の寮がついてくるようなので、もうこれしかないという思いで鞄ひとつだけ持って上京しました。自分の状況を面接では結構強く訴えて、「なんとか…」とお願いしまくったところ、「大丈夫大丈夫」と、優しく言っていただいて、その二日後には寮も手配して入れてもらえたんです。

それから二年経ちました。いろいろとありましたが、ざっくり言うと、借金を完済することができて、しかも地元の家は引き払って、今は寮を出て一人暮らししています。貯金を作って地元で再起をはかりたいと、今は貯金を作ることを目標に、ひたむきに働く日々です。

あの頃の危機感はハンパなものじゃなかったですが、いろいろと足りない頭で考えて、こうして東京に飛び込んできてよかったと思います。コロナの前に入ってきたので、お店の雰囲気もよくわかっています。ビフォーと現在、この今ですが、そこまで仕事の量は変わらないですね。いい感じで安定して稼げています。

とりあえずやるしかない！

貯金の目標額まで、今、半分くらいまできました。このペースで稼げたら、あと一年くらいでなんとか資金は足りそうなので、地元で再起をはかるため、本格的に動き出したいと思います。心配なのは鬱になってしまった先輩ですが、今は音信不通なので、先輩のことも地元に戻ったら友達に尋ねて歩いて、「大丈夫ですか？」と声をかけてあげたいです。

こういう風に心に余裕が生まれたのも、やはりお金あってのことなので、この仕事には救われました。地元でうじうじ悩んでいないで、出稼ぎという選択をしてよかったです。あれは正解でした。

ただ、東京の街も楽しいです。離れがたい部分はあります。そうはいっても、名古屋に未練というか借りみたいなものもあるので、そこで成功するのが僕の野望です。