Y・R（22歳）

ハメられたと気付いたときには遅かった

大学生です。家が裕福でなかったこともあり、なんとか奨学金で大学に行くことはできたものの、学生のうちから金持ちになりたい、将来の第一歩を固めておきたいという思いがありました。それで手を出したのが、ネットワークビジネスというやつです。

今だからそういう表現が適切だとわかるのですが、最初は、なんというか、自己啓発系のセミナーだったんです。稼ぐために必要なのはまずは勉強することだ、とかそういう内容のやつですね。まあ、ぺらっぺらな言い草だとその頃から思っていましたが、その中に一人、すごい僕のことを気に入ってくれた先輩がいて、その先輩と喋るためにセミナーに出ていました。

そうするうちに、いろんな「儲け話」というやつを持ちかけられて…そういうのって、最初は確かに勝たせてくれるんですよ。儲けさせてくれる。それで、後からガッツリはめるという、いわば詐欺師の常套テクみたいなもので、気がついたらかなりの借金を背負っていました。ハメられた、と気付いたときには遅かったんです。

とりあえず地道に返していくつもりで

「大丈夫、大丈夫」と先輩はやたら優しく言うんですが、もはや、ハメられているのは明白です。また次の「儲け話」に乗る前に、あなたたちは最低の人間ですねと言って、縁を切りました。けれど、重ねてしまった借金は片付けなくちゃいけません。どうしよう…。

高額バイトをいくつかやりました。でも、なかなか続く内容ではなくて…。すごい暗いムードの深夜作業系バイトとか、あとは一日だけの現場とか、そういうのです。それにとりあえずネカフェの掛け持ちで生活費を出して、余った金を淡々と借金返済にあてました。

その頃、ネカフェのオーナーが、「おまえくらいの若さなら」と言って紹介してくれたのがこの出張ホストのバイトです。「俺も一回やったことがあるんだよ」と。新宿にいいお店があるという評判を見て、応募してみました。地道に稼ぐ、地道に返す、そういう気持ちだったのですが、始めてみると、状況は一変しました。

入店直後から順調　返済の目処も立ちました

お店の面接では、自分が詐欺にあったみたいだと、相談するような口調で話しました。「まあそういうこともあるよ、ここで取り返してやれ」と激励され、採用していただくことに。

自分は経験のない水商売なので緊張はしましたが、どうやら、その生真面目さがわりとお客様に評価されたのか、「またあの子と遊びたい」と言ってもらえてリピートで指名もいただけるようになりました。そういうお客様がじょじょに増え、わりと最初の段階からいい調子よく稼げるようになり、「地道に」というつもりだった借金返済も、すでに完済の目処が立ちました。

ただ、返済してからが本当のスタート地点のようなものです。自分の大学生活の始まりは散々なものになってしまったので、これから、まさしく入店時に言われたように、取り返してやりたいと思います。今の高収入に満足せず、もっと上を目指したいです。