D・K（20歳）

居場所のなかった荒れた10代

僕は神奈川県出身の20歳。学歴は中卒。高校は入学して3日で辞めました。友達とつるんで、悪さばかりしていた10代。真面目に働くのがバカらしくて、口癖は「なんとかなるっしょ」。
でも、なんともならないのが現実で、気づけば職を転々としながら、土方やキャバクラのボーイで日銭を稼ぐ毎日でした。

まともに続いた仕事なんて一つもなかったし、どこへ行っても「すぐ辞めそう」と思われてたと思います。正直、自分でもそう思ってた。やる気がないわけじゃないのに、続ける理由が見つからなかったんです。

出張ホスト店のマネージャーと運命の出会い

そんな自分の人生が変わるきっかけになったのは、新宿のとあるバーでした。たまたま友達と飲みに行ったその店で、今のマネージャーと偶然出会いました。ごつい見た事もない時計をしていたので、酔っぱらった勢いで話しかけたんです。そのとき僕はちょうどキャバクラのボーイを辞めたばかりで、家賃も滞納してて、次の仕事を探していることをぽろっと話したんです。そしたら「うちで働いてみる？」と。出会って30分しか経ってないのに、言われたその一言に驚きつつも、それ以上に“今すぐ金が必要”って現実が勝ちました。なので迷うことなく、「お願いします」と返事しました。

出張ホストの仕事をして初めて感じたやりがい

出張ホストの仕事を始めて、気づけばもう1年。 こんなに長く続いた仕事は、初めてです。最初は緊張の連続だったけど、お店の人たちはみんな優しくて、ちゃんと話を聞いてくれて、「こういう働き方もあるんだ」って思わせてくれました。何より、自分みたいな人間をちゃんと受け入れてくれたことが、心から嬉しかったです。逃げ癖のある僕が、1年続けられた。それだけでも、ここで働いてよかったって思います。

最近、ちょっとした変化がありました。 「やっぱり中卒って、社会に出ると恥ずかしいな」と思うようになったんです。 きっかけは、お店のキャストたちが夢を語っている姿を見て、自分も何か挑戦したくなったから。今は高卒認定を取るために、通信の学校に通っています。勉強なんて、何年ぶりだろう。でも、思ったより楽しいです。昔の自分だったら考えられないけど、今は“続けたい”って思えてる。この歳で、やっとスタート地点に立てた気がします。

地元の若い子たちの力になりたい

将来の目標って聞かれると、正直まだはっきりとはしていません。 でも、最近は地元の後輩たちの相談に乗ることが多くて、「このままでいいのかな」と思うことが増えました。グレてる子って、みんな本当は優しいし、根は真面目なんです。でも、学歴や見た目で判断されて、チャンスさえもらえない。そんな現実があるのも事実です。だから、いつか自分で飲食店を経営して、そういう若い子たちが、学歴関係なく稼げる場所を作れたらと思っています。この言葉が嘘にならないように、自分のライフワークにしていきたい。まだまだ未熟だけど、この仕事を通して少しずつ、ちゃんとした自分に近づいている気がします。今は、そんな毎日が少しだけ、誇らしいです。