D・I（20歳）

きっかけは信頼する先輩の一言から

僕は20歳の体育大学に通う2年生です。日々の練習と学業で忙しい毎日ですが、正直、生活費と学費のことでいつも頭がいっぱいでした。実家からの仕送りはなく、アルバイトと奨学金で何とかやりくりしていました。

そんなとき、部活の先輩から「ちょっと変わったバイト、興味ない？」と声をかけられたんです。その先輩は、家庭の事情で急遽休学して実家に戻ることになり、自分の代わりに働ける人を探していたとのことでした。詳しく話を聞くと、接客系のバイトで、しかもかなりの高収入。正直、僕にできる気はまったくしませんでした。

不安と緊張のなかで始まった新しい世界

面接の日、緊張で手が震えていたのを覚えています。人と話すのはあまり得意じゃないし、自分に接客が向いているなんて思えなかった。でも、マネージャーさんはとても優しくて、「自然体でいいから」と言ってくださり、少し気が楽になりました。

実際に働き始めてみると、思っていたよりもずっと温かい雰囲気でした。お客様も優しい方ばかりで、ぎこちない僕に合わせて話しかけてくれたり、ゆっくり会話をしてくれたり。最初の頃はミスも多かったけれど、「緊張してるの可愛いね」と笑ってくれる方もいて、本当に救われました。

自分の弱みが強みに変わった瞬間

何度か出勤するうちに、少しずつ指名も増えてきました。驚いたのは、マネージャーさんから言われた「君の恥ずかしがり屋なところが、お客様にウケてるよ」という一言です。今まで自分の短所だと思っていたところが、まさかこんなふうに評価されるなんて思ってもみませんでした。

この経験を通じて、僕は自分の中にあった「どうせ自分には無理」という壁を少し壊すことができたような気がします。やってみなければ、自分の良さも特性も、意外な強みも分からないんだなと実感しました。

先輩への感謝と自分にできる恩返し

最近では、同じ部活の後輩にもこのバイトを紹介しました。最初は僕と同じように戸惑っていましたが、今ではしっかり働いてくれています。先輩が僕に道を開いてくれたように、今度は自分が誰かのきっかけになれたことが、少し嬉しいです。

この仕事は週に数回出勤するだけで生活費がまかなえるうえ、学費まで貯められるほどの高収入です。家庭の事情で仕送りが厳しい学生にとって、本当にありがたい存在だと思います。もちろん向き不向きはあるけれど、少しでも興味があれば、一度話を聞いてみる価値はあると思います。

自分の可能性を信じて挑戦すれば道が拓ける

今ではすっかりこのバイトにも慣れ、学校との両立も上手くできるようになりました。接客スキルやコミュニケーション力も、少しずつですが確実に伸びていると実感しています。就職するまではこの仕事を続けたいと考えています。

振り返ってみると、一歩踏み出したことが大きな転機でした。自分の可能性を自分で決めつけず、挑戦することで道が拓けるんだと感じています。あのとき背中を押してくれた先輩に、改めて感謝の気持ちを伝えたいです。