N・J（22歳）

地方から家計のためにきています

自分の家は自営業で、地方の旅館です。観光地なのでシーズンにはたくさんの人で賑わうのですが、やはりこのようなご時世で、近頃の売上は壊滅的です。正直、何人かの人に数か月分の給料を前払いして自主退職してもらうということもありました。家の跡取りとして、本当に心苦しいような状況です。

ただ政府とかそのへんの対応にはもう期待できないので、自分がなんとかしなくては、と思い、この春から東京に出稼ぎにきています。もちろん目的は家計を助ける、それだけです。まあ本当のことを言うと、多少東京生活を楽しんでもいますが（笑）

選んだのは、出張ホストでした。理由は二つあります。まずは、無料の寮がついていることです。これは生活費を抑えられるという点ですごく大きいし助かる。それから、高額バイトで、働けば働いた分、ちゃんと高収入になって返ってくる。つまりお金の面ですね。

仕事は緊張しつつも楽しんでいます

いくら家計のための出稼ぎと意気込んできても、どうしたってこういう仕事の経験がないわけですから、緊張はしました。特に最初は…東京の大スケール感にビクビクしていた部分もあるので（笑）ただ、そういう雰囲気なんかも「かわいい」とか言ってもらえて、優しいお客様に恵まれ、今では何とか家庭に安定した仕送りができるようになってきました。

もともと接客の能力が特別に高く備わっていたとか、そういうことではないと思います。確かに旅館の息子なので小さいときからお手伝いなんかはしていましたが、それも本当に手伝いというレベルだし、親から礼儀作法とかをちゃんと習った覚えもないですね、そういえば（笑）だから、ここでお客様と接するうちに、自然とそのへんは身についたのだと思います。

実家が自営業で、実は旅館で…と話すと、「今は大変だね。こういう状況が終わったらいつか遊びにいくね」と言ってくださるお客様もいらっしゃり、そんな温かい言葉にも心が慰められています。頑張ろうという励みになります。そしてお店にも無料の寮を快く貸してくださり、本当に感謝しています。緊張しつつも、出張ホストの仕事を楽しんでいます。

束の間の（？）東京生活を楽しみながら

こういう状況がいつまで続くのか、なかなかわからないところがありますね。ワクチンを自分が打ったからといって安心というわけでもないですし、どうなんだろう、本当にマスクを外せる日がいつになるのか、はっきりしません。不安な日々が続くことになりそうです。

しかしせっかくならば、という思いもあります。こうして地方の旅館から東京に出てきて新宿で高額バイトしているのだから、自分の青春時代の一つとして、それも楽しんでみよう、と。もしして居着いてしまったりして（笑）まあそれはないにしても、人生で一度くらい都会の生活を楽しんでもいいでしょう。

何があっても前向きにやっていきます。そういうポジティブなところは僕の売りでもあるので、なんだか沈んでらっしゃるお客様がいらしたら、勇気付けられたら、と思います。