K・K（22歳）

こういう時代だから仕方ないのかな…

頭が真っ暗というか真っ白というか、そんな感じですね。コロナの影響で、卒業間際のタイミングで、内定が決まっていた会社から採用取り消しをくらいました。病院での柔道整復師、理学療法士、そういう予定だったんですが、まあこの現状で気配はあったのですが…。

けれども、実際そのような事態に遭遇してみると、人間、本当にどうしようかと戸惑ってしまいますね。どうしようもない。身動き取れない。今からまた就職活動するのも何か、となんだか癪に障ります。だって、その先だってどうなるかなんて、誰にもわかりませんから。

そういう事情をマネージャーに話してみたところ、とりあえず出張ホストの仕事は続けながら、思い切って起業してみたら、とアドバイスを受けました。確かにそれもアリかなとは思うんです。というのも、僕はどちらかといえば、自分で何もかも切り盛りしたいタイプなので、雇われの身としていつまで続くか考えてみると、そっちの方が現実的かもな、と。

今は資金稼ぎのつもりでやっています

ところで僕のこのお店での仕事の立ち位置について説明しておくと、募集を見て入ってきたときから体育大生でまあこういうマッサージとか理学療法とかの世界にいるような人間なので、お客様からも施術をお願いされることが多いですね。マッサージしながらトークとか、そういう雰囲気です。

これは僕に合っていると思います。なんだかお喋りだけだと持たないような人間なんですよね、わかりますか？（笑）ちょっと対面してがっつりトーク、という接客スタイルでは難しかったんじゃないかな。求人に応募したときには、そんなことまで考えていなかったですけどね。新宿で稼げる高額バイト？　じゃあ、やってみよう、というノリでいったので。

起業を決意してから、これまでこの仕事で貯めてきたお金の使い道も見えてきました。そうです、自分の店を持つための資金です。せっかくこれだけ稼がせてもらえるのに、実は僕はお金の使い方がヘタというか、何事にも思い切りがつかない性格なので、結構貯えはできていたんですよね。マネージャーの助言を受けてからは、そういうつもりで働いています。

お客様には施術で触れ込みも

採用取り消しという未来をふさがれた僕ですが、それがきっかけになって、自らの力で生きる道というものを考えるようになりました。起業を決意してからは、お客様にはちょっとした触れ込みのつもりで、マッサージをちょっと多めに無料でサービスしながら、「いやあ実は…」なんて話してもいます。宣伝みたいなものです。

それが結構好意的な人もいるというか、このお店を利用されるお客様は独立して何かやってらっしゃる方が多いので、何かとアドバイスいただいたり、「その方がいいよ」と応援してもらったりしています。結果的にではありますが、こういう決心をしてよかったかな。

ゆくゆく自分の医院を持ってやっていくことを考えると、希望が満ち溢れてきます。こんな時代でもそういう前向きな意思が持てたことは、いいもんだな、と素直にそう思います。